飲んでも喉が渇く
「喉が渇く」というのは当たり前の生理現象ですが、過剰になると「症状」となり受診が必要です。症状としての喉の渇きが生じやすい疾患としては糖尿病がよく知られていますが、それ以外の疾患が原因になることも少なくありません。
コップ1杯の水を飲みほしたのに喉の渇きが収まらない、以前より頻繁に喉が渇く、あるいは頻尿や多尿になったという場合には、お早めに当院にご相談ください。
1日に必要な水分の量
厚生労働省によると、健康な成人の場合、1日あたり2.5リットルの水分の摂取が推奨されています。食事から摂取する水分・体内で生成される水分が約1.3リットルであるため、“飲み物”としては約1.2リットルが必要になります。
汗をかく量や身体の大きさなどによって必要量は異なりますが、1.2リットルを大幅に上回る量を毎日飲んでいるという場合には、注意が必要です。
喉が渇く原因
喉が渇くのは、体内の水分量が低下しているサインです。誰にでも起こる生理現象ですが、以下のような原因によって、その程度が過剰になることがあります。
なお、ご高齢の方は、若い方と比べると「喉が渇いたと感じるまでに時間がかかる」傾向があります。より意識的に水分を摂取し、脱水を予防しましょう。
発汗・排尿
汗をかいたり、排尿をしたりすると、体内の水分量は低下していきます。
適度な水分を摂取することで治まるようであれば、心配はいりません。
下痢
下痢になっている時は、多量の水分が便と一緒に排泄されます。
意識的に水分を摂取する必要がありますが、その場合は常温または温かいものを小まめに摂取することが大切になります。
発熱
風邪などに伴い発熱している場合には、体内の水分が失われがちです。
意識して水分を摂取しましょう。
糖尿病
糖尿病の方は、血液中のブドウ糖の量が多くなります。すると、尿に糖が排泄され(尿糖)ます。この時、水分も一緒に排泄されるため、多尿および喉の渇きといった症状が現れます。
治療により血糖値をコントロールすることで、症状の改善が期待できます。
更年期障害
女性の場合、閉経の前後10年(平均45~55歳くらい)には、女性ホルモンの急激な減少によって心身にさまざまな症状をきたす更年期障害が起こることが少なくありません。そのうちの症状の1つとして、喉の渇きが認められることがあります。
更年期障害に対する治療を行いながら、小まめに、しっかりと水分を摂ります。
ドライマウス
加齢、ストレス、薬の副作用、膠原病などを原因として唾液の分泌量が低下し、口内が乾燥することをドライマウスと言います。
歯科では、人工唾液や保湿ジェルを用いた治療が行われます。そのほか、唾液腺のマッサージなども有効です。
喉が渇く原因は
糖尿病の可能性がある?
糖尿病とは、何らかの原因によってインスリンの働きや分泌量が低下することで、血中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気です。
血中のブドウ糖が多くなることで、糖、そして水分の尿への排泄が促進されます。さらに、血液がドロドロになった状態を私たちの身体が危険と判断するため、水分を摂るよう指令を出し、喉の渇きが強くなるのです。
こうして水分を摂ることで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げることができます。ただ、これはあくまで目の前の危機を回避するための仕組みであり、その後の脳梗塞・心筋梗塞のリスクを下げるためには、糖尿病の治療が必須です。
糖尿病によるその他の症状
喉の渇き以外の糖尿病の症状としては、以下のようなものが挙げられます。ただし、初期にはほとんど自覚症状がありません。健康診断や人間ドックで血糖値の異常を指摘された時には、症状がなくても、必ず精密検査を受け、必要に応じて治療に取り組みましょう。
- 水分をたくさん摂る
- 多尿、頻尿
- 痩せる
- 倦怠感
- 足のしびれ、痛み
- 感覚の低下
- 傷が治りにくい
糖尿病の予防
糖尿病のうち、約95%は生活習慣の乱れを原因として発症する「Ⅱ型糖尿病」です。アジア人はもともと、欧米人と比べるとインスリンの分泌量が少ないという性質を持っています。そのため、より血糖値が上がりやすい、糖尿病になりやすい人種と言えます。
食事
食事で気をつけるのは、栄養バランスだけではありません。早食いをせずよく噛むこと、食べる順番を工夫することなどでも、食後の血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
特に、以下のような点に気をつけましょう。
- 栄養バランスのとれた食事を摂る
- 食べ過ぎない(腹八分目)
- 早食いをしない、よく噛む
- 野菜、海藻、きのこ類など、食物繊維の豊富な食品を意識して食べる
- 夕食は就寝の2時間前までに済ませておく
- 野菜や汁物から手をつけ、その後主菜、ご飯という順番で食べる
運動
運動は、肥満を予防するだけでなく、血中のブドウ糖の吸収を促進したり、インスリンの働きを強化したりといった効果が期待できます。また、好きな運動に取り組むことで、ストレスの解消にも役立ちます。
1日30分程度の有酸素運動と、週2~3回の筋力トレーニングを組み合わせるのが有効です。