- このような時胸が締め付けられる、胸が苦しくなりませんか?
- 胸が締め付けられる、胸が苦しい時に考えられる病気
- 「狭心症」と「心筋梗塞」との違いとは?
- 胸が締め付けられる、胸が苦しい時の検査方法
- 狭心症の治療
- 心筋梗塞の治療
- 狭心症、心筋梗塞の予防
このような時胸が
締め付けられる、
胸が苦しくなりませんか?
- 階段の上り下りの時
- 動いた時、立ち上がった時
- ふとした時に締め付けられ、安静にしていると治まってくる
心臓のある胸が締め付けられるのは、「何か危険な病気では?」と考えてしまう症状です。結論から言うと、命にかかわる病気のサインというケースもあれば、そうでないケースもあります。大切なのは、見過ごすことなく医療機関を受診し、その原因を明らかにすることです。
過度にこわがらず、かといって甘く見ず、適切な対応をとりましょう。
胸が締め付けられる、
胸が苦しい時に
考えられる病気
狭心症
心臓の筋肉(心筋)に栄養を送る「冠動脈」で動脈硬化が進行することで発症する病気です。血管の内側が狭くなり、心筋が酸素不足になることで、歩行時や運動時に胸が締め付けられる、胸が苦しいといった症状が現れます。特に、階段の上り下りの時、気温が低い日に症状が症状を自覚する方が多いようです。またその他、動悸、左腕のしびれ、歯痛などの症状も見られることがあります。
冠動脈が完全に詰まってしまうと、急性心筋梗塞という状態になります。心筋にまったく酸素が供給されなくなるため、心筋の壊死が進みます。この場合には、緊急での治療が必要になり、最悪の場合には命を落とします。
狭心症の症状がある方は、急性心筋梗塞を発症する前に、適切な治療を受けることが大切です。
心筋梗塞
心筋に栄養を送る冠動脈が完全に詰まったことで発症する病気です。強い胸の痛み(特に真ん中から左胸にかけて)を伴います。胸の痛みは、強い圧迫感、締め付けられる感じと表現されることもあり、30分以上持続します。左腕の内側、みぞおち、喉などに痛みが広がることもあります。その他の症状としては、左腕のしびれ、腹痛、吐き気、呼吸困難、動悸、冷や汗などが挙げられます。場合によっては失神、そして死に至ることもあります。
心筋炎
ウイルス感染などを原因として、心筋で炎症が起こった状態です。寒気、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感といった症状の後、胸痛や胸の苦しさ、不整脈などが出現します。重篤なケースでは、命を脅かすことのある疾患です。
大動脈解離
大動脈という血管の壁が裂けるという、きわめて危険な状態です。放置した場合の発症後48時間以内の死亡率は50%にものぼります。強烈な胸や背中の痛みが特徴的です。また、喉や腰の痛み、手足の麻痺が見られることもあります。
心房細動
心房が痙攣するように動き、正常に機能しなくなる病気です。胸の痛みや不快感、動作時の息切れ、頻脈などの症状を伴います。心不全や血栓の原因となったりと、命にかかわる状態へと移行することのある病気です。
気胸
肺の表面に風船のようなもの(「ブラ」と言います)が形成され、これが破れることで空気が漏れ、肺が圧迫されて潰れる病気です。我慢できる程度の胸の痛み、息苦しさなどの症状が見られます。ただし、心臓を圧迫し、命を危険にさらすケースも見られます。
胸膜炎
肺を包む2枚の膜を指す「胸膜」で炎症が起こった状態です。感染症、肺がんなどを原因とします。胸の痛みが、深呼吸をした時に強くなるという特徴を持ちます。そのほか、咳、呼吸困難などの症状も見られます
肺血栓塞栓症
心臓に異常が認められないにもかかわらず、自律神経失調症などの影響によって、動悸、息切れ、不安感、焦燥感、抑うつ感などの症状が見られます。自律神経失調症の原因としては、過労、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。
逆流性食道炎
腹圧の上昇、下部食道括約筋の緩みなどによって、胃酸が逆流して食道粘膜で炎症を起こす病気です。胸やけ、胸の痛み、咳、声がれなどの症状を伴います。胸の症状は、特に食後に現れやすくなります。
帯状疱疹
水ぼうそうになると、治療後も水痘・帯状疱疹ウイルスが体内に残ります。体力や免疫力が低下した時にこのウイルスが活発化し、身体の左右どちらかに疱疹が出現するのが帯状疱疹です。胸に発生した場合には、ピリピリとした焼けるような痛みを伴います。
肋骨骨折
転倒などによって肋骨を骨折すると、胸の痛みを伴います。安静にしていても痛いという場合もあれば、咳をした時や動いた時に痛いという場合もあります。ご高齢の方の場合には、マッサージ程度の圧迫で骨折に至ることもあります。
女性ホルモンの乱れ
女性の場合は、生理前や妊娠中などの女性ホルモンのバランスが乱れる時に胸(乳房)の痛みを感じることがあります。
生理や出産が終わっても症状が続くという場合には、お早めに当院にご相談ください。
「狭心症」と「心筋梗塞」
との違いとは?
分かりやすく言うと、狭心症は冠動脈が狭くなる病気、心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まる病気ということになります。当然、心筋梗塞の方が危険度が高くなります。
以下の表で、症状の現れ方の違いをご説明します。
狭心症 | 心筋梗塞 | |
症状の種類 |
|
|
症状の持続時間 | 通常は数分以内に治まるが、繰り返されることも | 30分から数時間持続する |
症状の現れやすい タイミング |
運動時、緊張時に起こりやすい | タイミングは問わないが、季節の変わり目に起こりやすい |
胸が締め付けられる、
胸が苦しい時の検査方法
心電図検査
心臓が発する微弱な電気信号を読み取り、モニターに波形として表示します。
狭心症や心筋梗塞、不整脈、心肥大、高血圧などの発見や診断に役立ちます。
24時間ホルター心電図検査
小型の装置を装着していただき、普段通りに生活していただくだけで、24時間の心電図を測定・記録することができます。院内で行う心電図検査では見つかりにくい不整脈や狭心症などの発見・診断に役立ちます。
レントゲン検査
胸部のレントゲン撮影を行う検査です。狭心症や心筋梗塞、心肥大の有無などを調べます。また、肺の状態を調べるのにも役立ちます。
超音波検査
跳ね返ってくる超音波を読み取り、臓器の状態を調べます。心臓超音波検査(心エコー)では、心臓機能や弁膜症の有無などの評価を行います。血管の狭窄や閉塞、大動脈瘤・大動脈解離の有無も調べられます。
運動負荷試験
運動をしながら、血圧測定や心電図検査を行います。運動時に心臓がどの程度機能しているかを評価することができます。
狭心症の治療
薬物療法
狭心症の発作が出た時に使用する「ニトログリセリン」がよく知られています。数分以内に発作が治まりますが、あくまで応急処置として使用する薬です。
狭心症の治療の中心となるのが、血液をサラサラにする「抗血小板薬」や「抗凝固薬」です。そのほか、冠動脈の拡張を促す「硝酸薬」「カルシウム拮抗薬」、血液量を減らし血流を改善する「交感神経ベータ遮断薬」を使用することもあります。
カテーテル治療・手術
進行した狭心症の場合、カテーテルを冠動脈に挿入する「カテーテル・インターベンション」、冠動脈で新たに血管をつなぐ「冠動脈バイパス手術」といったカテーテル治療・手術が必要になることもあります。
これらの治療が必要になった場合には、速やかに病院へとご紹介いたします。
心筋梗塞の治療
薬物療法
病院等に搬送後、酸素吸入や検査と並行して、心臓の負担を軽減するニトログリセリン、血栓の再発を防ぐ抗血小板薬などを投与します。痛みを抑えるためのモルヒネを使用することもあります。
再灌流療法
発症から12時間以内に第一選択となる治療です。血管の詰まりを取り除き、血流を取り戻すことを目的とします。
血栓を溶かす血栓溶解薬を使ったり、バルーンのついたカテーテルとステントを使うなどして、冠動脈を再開通させます。
カテーテル治療・手術
カテーテル・インターベンション、冠動脈バイパス手術などが行われます。
狭心症、心筋梗塞の予防
狭心症と心筋梗塞、どちらにも共通する原因として、血管がもろく硬くなる「動脈硬化」が挙げられます。そして動脈硬化を引き起こすのが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病です。
すでに生活習慣病の診断を受けている方は、その治療に専念することが、狭心症や心筋梗塞の予防となります。
また、生活習慣病ではない方も、普段の食習慣・運動習慣を振り返り、その維持・改善に努めましょう。
- 規則正しい生活リズム
- 栄養バランスの整った食事
- 暴飲暴食をしない
- 適度な運動を心がける
- ストレスをためない
- タバコを吸わない
- 適正体重の維持