心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは?

心臓リハビリテーションとは、慢性心不全、狭心症、心筋梗塞などの心臓疾患のある方、心臓の治療・手術を受けた後の方などを対象としたリハビリテーションです。運動機能の向上と栄養状態の改善により、患者様の健康と快適な生活、そして安心を取り戻します。

運動機能の向上

心臓の持病がある方、心臓病治療後・手術後の方は、療養生活・入院などによって運動機能が低下しています。
心臓に負担をかけないように細心の注意を払いながら、年齢・お身体の状態に合った運動を行い、以前に近い運動機能を取り戻します。

栄養状態の改善

栄養バランスの整った食事は、心身の健康を維持するためには欠かせません。
心臓疾患だけでなく、糖尿病・高血圧症・脂質異常症などにも配慮しながら、最適な食事量・栄養バランスに調整した食事を摂り、栄養状態を改善します。

このような方はご相談ください

  • 慢性心不全、狭心症、心筋梗塞などの心臓病がある
  • 心臓病の治療で入院していたが、退院後の生活に不安がある
  • 心臓病の手術を受けて退院したが、体力が低下していて不安
  • 心臓病によってQOLの低下を感じている
  • 心臓の病気、症状が不安で外出が億劫になっている
  • 心臓の病気、症状が不安で遠出ができない
  • 検査で心臓に問題はなかったが、動悸や息切れがある
  • 理学療法士、管理栄養士からの専門的なリハビリを受けたい
  • 心臓の病気で体育の授業が受けられない、外遊びに制限があるお子様

上記に1つでも当てはまる場合には、お早めに当院にご相談ください。

心臓リハビリテーションの効果

患者様ご本人の心身の健康やQOLに、そしてご家族にも良い影響がもたらされます。

  • 寝起き、食事、着替え、入浴などの日常動作の改善
  • 掃除、洗濯、調理などの家事の負担が軽くなる
  • 外出の機会の増加
  • コミュニケーションの活発化、うつ病の予防
  • 狭心症、心不全などの症状の改善
  • 心筋梗塞の再発リスク低減
  • 生活習慣病および合併症の予防、改善
  • 突然死リスクの低減
  • 家族の負担軽減

保険が適用となる方

以下のいずれかに該当する場合には、心臓リハビリテーションに健康保険が適用されます。なお、年齢の制限はありません。

  • 狭心症の方
  • 急性心筋梗塞を発症し、治療後に退院した方
  • 慢性心不全の方
  • 心臓・大動脈の手術を受け退院した方
  • 大動脈解離、解離性大動脈瘤の方
  • 下肢閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患のある方
  • 大動脈弁狭窄症で、経カテーテル大動脈弁置換術後 (TAVI)後の方

※心臓リハビリテーション開始後、まず150日間は健康保険が適用されます。医師が必要と判断した場合には、その後も引き続き、健康保険が適用されます。

当院の心臓リハビリテーションの特徴

医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・臨床検査技師による総合的なサポート

診察・診断をする医師の指導のもと、いつも患者様に寄り添う看護師、運動療法の中心となる理学療法士、食事療法で細やかなアドバイスを行う管理栄養士、精度の高い検査をする臨床検査技師が、患者様とそのご家族を支えます。
各専門家による総合的なサポートがございますので、どうぞ安心してご相談ください。

患者様お一人お一人に合ったプログラムの作成

当院の心臓リハビリテーションで作成するプログラムは、年齢や性別、お身体の状態、食事や運動の好き/嫌いなどにも配慮して、患者様お一人おひとりで異なっています。
楽しみながら、無理なく続けられるプログラム提案することで、リハビリの効果をより確かなものにします。

心臓リハビリテーションでは何をするの?

心肺運動負荷試験(CPX)

食事療法・運動療法を始める前に行う検査です。
心電図、血圧、呼吸状態を確認しながら、次第にペダルが重くなる自転車型の検査装置を使用していただきます。
これにより、「安全に継続できる運動の強度」が分かります。
適切な強度を把握した上で運動療法のプログラムを作成することで、患者様は心臓に過度の負担をかけずに、安心して運動をしていただけます。

食事療法

医師の指導のもと、管理栄養士が栄養バランス・カロリー、生活習慣病の有無を考慮したメニューや食べ方についてアドバイスを行います。基本的に、一切食べられないもの、はありません。
「これだけはどうしても食べられない」といった苦手な食べ物がございましたら、遠慮なく仰ってください。

運動療法

問診や心肺運動負荷試験の結果、日々の摂取カロリーをもとに、患者様お一人おひとりに合った運動プログラムを作成します。その上で、医師の指導のもと、理学療法士と一緒に運動リハビリテーションを行っていきます。
楽しみながら、続けやすい運動プログラムを提案いたします。

心臓リハビリと他のリハビリの大きな違い

心臓リハビリの最大の特徴は「生命予後の改善」が認められていることです。
リハビリでただ日常に復帰してもらうことがゴールではなく、心臓の病気があったとしても、健康な方と同等の生活レベルの維持、寿命をまっとうしていただくことにあります。
そのためには、心臓や血管の病気の再発や再入院を予防することが大切です。
心臓病に限らず治療の多くは「対処療法であったり、守りの治療」です。
心臓リハビリはもちろん守るための治療でもありますが、そもそも悪くならないための介入であり、また今よりもっと良くなってもらうための介入手段、つまり「攻めの治療」でもあります。

心臓リハビリテーションの流れ

1診察

医師が診察を行います。
心臓疾患の経過を中心としたお身体の状態、普段の生活状況などをお伺いします。
「こんなことができなくて困っている」「こんなことにチャレンジしたい」といったことがございましたら、ぜひお聞かせください。

2検査、カウンセリング

血液検査、尿検査、心電図検査、心臓エコー検査、胸部X線検査、心肺運動負荷試験などを行います。
検査結果を見ながら、治療方針について患者様にご説明をいたします。ご不明・ご不安な点は、何でもお尋ねください。

3病状に合わせた運動療法のプログラムと栄養指導

医師の指導のもと、理学療法士による運動療法、管理栄養士による栄養指導を行って参ります。

4リハビリテーションの実施

リハビリテーションを行う日は、運動しやすい服・靴でお越しください。
また必要に応じて、飲み物、汗拭きタオル、お着替えなどもお持ちください。

当日の流れ
  1. 血圧、脈拍などを測り、体調に問題がないかどうかを確認します。
  2. 準備運動をします。
  3. プログラムに沿って、有酸素運動や筋力トレーニングを行います。
  4. クールダウン後、再度体調確認を行います。
  5. 本日のリハビリ内内容の振り返りを行います。
  6. 次回のご予約をして、お帰りいただけます。

栄養指導については、初回に実施後、定期的に行って参ります。
それ以外のタイミングでも、相談したことがございましたら、お気軽にスタッフにお申し付けください。